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冨田新道〜雲取山避難小屋〜酉谷山避難小屋(2日目)
2017/10/31〜11/2


[2日目]
2017/11/ 1(火)
雲取山避難小屋〜雲取山〜水松山〜酉谷山避難小屋(泊)

雲取山避難小屋


同宿のIさんが日の出を見に行くと言って早起きされた。洋食屋さん経営の若い人もそれなりに早く起きて食事を始めている。Iさんは起き掛けに寒かったと言っていたが、この時期の装備としては軽めのものを持ってきていたようだった。軽量化と快適さは相反する季節になってきている。ISUKA AIR 640のシュラフにモンベルのダウンインナー(下)を着用したところ、快適・快眠の世界であった。加えて着衣は小屋でもテントでも必ず乾いたものに着替える習慣がついているから、からっとして気持ちがいいことこの上ない。

石雲取山避難小屋

陽がやっと上ったころから雲取山荘に泊まったとみられる登山者が避難小屋をのぞき、あるいは板の間に上がって朝食を作って食べていく。私と言えば2泊3日の山なのに朝食分の食料をまったく考えず持ってきていなかったか有り合わせの粗食で済ませる。そろそろ次の目的地の酉谷山避難小屋に向け出発しなければならない時間になってきた。小屋内は昨日のうちにIさんがきれいに清掃してくれたとのことだったが、箒を掛けて小屋を出る。Iさんによれば、この小屋の外に設置されているトイレを個人の人が毎週のように掃除しているという。だからこのごろは、酉谷山避難小屋のようにはいかないが、すっかりきれいになったとのことだった。

雲取山荘

そんな話を聞いて雲取山荘を通り過ぎた際、山荘の窓辺に「雲取山便所の清掃委託」業務を実施したことを示すボードがあった。「平成27年3月29日」とある。奥多摩町から一回8千円ほどで請け負っている業務のようだが、善意に解釈すると委託は解除になっているのだろう。そのほうがきれいになっているという不思議な話だ。

雲取山

昨晩の雲取山荘は、平日・月曜日にも関わらず50人ほどの宿泊者があったという。だから朝から雲取山避難小屋をのぞいていく人も、まだ肌寒い雲取山頂で憩う人も多いのであった。

雲取山荘

雲取山荘を越えて大ダワを過ぎ芋ノ木ドッケへの登りの登山道に新しい足跡はなく、奥多摩のゴールデンルートである長沢背稜は静かなままであり、静かな山道を贅沢にも一人占めして歩く。

画像中央の二軒小屋尾根越しに冨田新道〜雲取山 野陣尾根の支尾根は右が権衛尾根、左が岩茸オキ尾根

リハビリ登山ながら歩き続けるうちに、カムイエクウチカウシ山の岩場でスリップして滑り落ちた際に打った腰の蝶つがいは徐々に違和感が取れて行き、長丁場の下りで痛めた膝の痛みも時折忘れるほどになって来た。やっぱりゆっくり歩くのが何よりの薬なのか。

ヤケト頭付近の好ましい風景

この旅の最後のひと登りとなる長沢山を過ぎれば、あとは快適なプロムナードを堪能するだけである。やはり、1時間も歩くと体を休ませてやらなければ痛みが出てくる。北風の当たらない南面では時折腰を下ろしてお茶を飲み、エネルギーを補給する。

水松山付近の三叉路

芋ノ木ドッケから水松山を経て天祖山への分岐までは、新しい道標がいっぱい立てられていた。奥多摩界隈の山はどこでも遠慮なしにたくさんの赤テープが括り付けられている。このように統一したデザインの道標ならば、その数は少し饒舌かはとは思われるものの美観を損ねることもないし、無粋な赤テープの類は淘汰されてすっきりすることだろう。

何度歩いても飽きない長沢背稜

もう一つの変化は、タワ尾根の分岐から酉谷山避難小屋までの間の道が整備されたということである。水道局の事業を行う上での必要性からであろうとも、その恩恵を授かることができることはありがたい。タワ尾根の分岐は風が通って寒いからと少し酉谷山方向に進んでからザックを降ろし、小腹を満たして先に進むと単独の女性が向かってきた。日帰りとのことだった。雲取山荘から進んで初めて出逢った人だった。

酉谷山避難小屋

タワ尾根分岐付近での休憩を終え、何度歩いても飽きることのないお気に入りの長沢背稜を進む。奥多摩の山歩きの真骨頂がここにありという思いはいつも同じ。そしてここまで来ると酉谷山避難小屋への思いが強くなってくる。さて今夜はどのような人たちとの小屋ライフになるのか、はたまた憧れの小屋独占の一夜かと・・・。

酉谷山避難小屋の水場の様子


そんな思いを持ちながら歩いて小屋が見えてくると、酉谷山避難小屋の水場で水を組む男性の姿を認める。そんなときは「やっぱり」という多少の落胆の気持ちが優勢となっている。

コーヒータイム

しかし、人とは交わってみなければ分かるものではない。小屋の扉を開けて「こんにちわ。ご一緒させてください。」と声を掛けると温かい眼差しが帰ってくる。さきほどの男性と美容院を経営している男性(Kさん)の2人であった。Kさんは仕事の都合でいつでも山に登れるという環境ではないようで、その反動?か酒類を相当量を担ぎ上げてきており、すっかり酉谷山避難小屋の夕暮れ時の贅沢な時間を楽しんでおられる。3人で話は弾むが、夜の帳が下りるとともに就寝体制に入って夢心地となる。


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