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初冬の和名倉山 (テント泊)
2014/12/26~27


和名倉山(中央の奥の山)


 12月26日(金)

 2015年の年の瀬、最後の山を和名倉山とした。この山は、夏に一度計画した山だった。秩父湖(埼大山寮)付近に車を停め、二瀬尾根から和名倉山に登り山中ビバーク、2日目に将監峠から飛龍山を経て三条の湯で幕営、3日目に雲取山に登り三峰神社へ下山しバスで埼大山寮へ戻るという2泊3日の周回コースを考えていたが、天候の関係などで実現できなかった。そこで、まだ雪が深くならない今のうちならだいじょうぶだろうと山梨県側から登ることにした。


七ッ石尾根が山ノ神土に向かう稜線と接するところ

 今回の計画は、当初は三ノ瀬から先に進んで中島川橋に車を停め、1日目に笠取山~黒槐山~唐松尾山~将監峠~将監小屋(テント泊)、2日目に将監小屋から和名倉山を登り、帰路は山ノ神土から七ッ石尾根を三ノ瀬まで下りて中島川橋まで歩き車を回収するものだったが、2日目の行程がこの季節としては長く、あまりにも非現実的ということで、急きょ三ノ瀬~山ノ神土~和名倉山を素直に往復することにし、和名倉山周辺でのビバークを前提にした。


山ノ神土 標識が指す東仙波・白石山の方向が少し相違する

 青梅街道はまったくの夏道であり何の問題もなかったが、一之瀬川橋を右折し三ノ瀬に向かう道はのっけからアイスバーンになっていて、少し進むとジャンボタクシーが緩傾斜の長いアイスバーンの登り道で走行不能となっていた。このタクシーはスタッドレスタイヤを装着していたようだが、後輪駆動のためアイスバーンの道を登ることができずに山側に車体がぶれて止まり、チェーンを付けているところだった。道路には砂が多少撒かれていたので車輪をから空転させないようそろりと登ったが、スタッドレスタイヤを装着していなければにっちもさっちもいかなかったというより、それは無謀なことだとはその先にも断続的にあるアイスバーンの路面でよく分かることであった。

 

和名倉山への入り口 山ノ神土の標識から写す

 無事三ノ瀬にたどり着いて「民宿みはらし」に車を停める。断りを入れるために民宿を訪ねたが不在であったので郵便受けにメモを入れる。身支度を整えて将監峠登山口の看板から林道に入る。この林道は最初から最後まで完璧なアイスバーンとなっているので、氷の道となっている轍の歩行は極力避けて、少しでも雪のあるところを歩く。牛王院下の分岐点で七ッ石尾根に入ると数人分の古い足跡が雪の上に残っている。あとは山ノ神土までを淡々と登るだけだ。


西仙波へ向かう

 山ノ神土到着が12時ちょうどとなった。お腹を満たしてから笹に雪が被さったちょっと寂しい和名倉山への道に入る。雪の上に人の足跡はない。代わりに、鹿の足跡が登山道をトレースしている。山ノ神土の少し先の水場は健在だった。しかし、鹿が水場の上の源頭を好き勝手に歩いているので、衛生状態が不安である。この水場を含め厳冬期に向かいつつある最近の和名倉山界隈のフレッシュな情報がなかったので、水はポカリを含め全部で3.6ℓ持ってきた。


東仙波へと向かう

 富士山を望むことができる南東の開けた快適な尾根を進むといったん疎林の中を通り西仙波に出る。長~いシャクナゲのトンネルをくぐり、再び見通しが利くようになると岩稜となり、いったん下って、今度は笹が敷き詰められた緩斜面を登ると東仙波である。南に開けた斜面は明るい日差しを浴びることができるが、左に90度折れてきた斜面を下るとそこからは北風が吹き付け陽射しもない冬景色であった。見通しのよい尾根に出て「吹上」から吹上ノ頭を巻くところでいったん道を失ったので稜線に出るように登った途中で再び巻いてみる。すると展望が開け南アルプスの山脈が見える。東仙波から和名倉山への分岐である二瀬分岐までのコースタイムは1時間20分となっているが、その時間は過ぎている。いったん高みを登り八百平から樹林の中で川又分岐に出合う。時間的にもビバーク適地があったらテントを張ろうと思っていたが、それらしきところはなく、カラマツ林を登って行くと二瀬分岐の標識が遠くに見える。驚いたことに、秩父湖からの一人分の足跡が何の躊躇もなく和名倉山方面へと向かっている。


二瀬分岐

 二瀬分岐から和名倉山へは山の背中の南側を歩くイメージであったので、その間にはビバーク適地はあるだろうと、雪の上の新しい足跡をたどって分岐標識から和名倉山方面へと進む。しかし、山肌が削り取られたとでも言ってよさそうな千代蔵休ン場にもいい雰囲気のところがないので先に進むと、「和名倉山」への新しい標識があり、それに従って行くと絶好のビバーク地があった。和名倉山の頂上は何の展望もないということなので、頂上へ行ってから戻ることにし待望の頂上に着いた。そこはぐる~っと360度がもやしのような木々に囲まれ、陽も差し込まないところではあったが、途中でのビバークも考えながらの到着だったので、その歓びが感動を覚えさせてくれたのだった。


和名倉山の頂上(平地)

 頂上標識にタッチすると踵を返してビバーク適地へと戻る。陽は笠取山方向の山並みに沈みかけている。陽が沈まないうちにテントを設営しないと急激に寒さが襲ってくるだろうからと、手早くテントを張り中に潜り込んでガスバーナーに火を着けて暖を採る。今日は700ヘクトパスカルの上空でマイナス18℃の気温とのことなので、ここも相当冷えるのだろう。年末の登山と言うことで、飛び切りの日本酒に刺身、その後は蕎麦で食事とする。


和名倉山頂上手前の展望が利く場所

 今回持参した寝袋はマイナス15℃まで対応の「イスカ エア 630EX」なのでシュラフカバーなしの薄着でも大丈夫だろうとインナーダウンは用いず、ズボンも脱いで横になる。心地より酔いに誘われて眠りに就く。多分朝の4時ごろだろう、太ももに寒さを感じて目を覚ます。それでも寝られないわけではないのでそのまま断続的に寝たり目を覚ましたりであった。


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