[HOME][2日目][酉谷山避難小屋訪問記録一覧] 

 矢岳から酉谷山避難小屋へと歩く
2013/ 4/26〜27


酉谷山避難小屋の夜


  4月26日(金) 1日目  

 秩父の山にミツバツツジ&ヤシオツツジの花咲く季節となった。登山口の武州日野駅(標高≒290m)から矢岳を経て酉谷山避難小屋(標高≒1600m)までの1,310mという里山にはあるまじき標高差とともにロングランコースを選ぶ。これで6回目の矢岳となる。このコース、篠戸山の伐採地を除き、矢岳まではほとんど植林帯でその後も展望を得られるところは少ない。我慢を覚えることを学ぶために登るにはいいところだ、と納得させる。実際は、入る人も少なく静かに歩くのにいいところだ。


カタクリ

 武州日野駅で身支度を整えていると、男子中学生が「おはようございます。」と明るい声であいさつをしてくれる。こんな経験は滝子山の時もよくあることだったが、駅から山裾に向かっているときに、これから勤めに行くというような感じの若い御嬢さんも、「おはようございます。」と清々しく爽やかに声を掛けてくれる。これまでにも秩父の街中でバスを待っているときにご近所の方が声を掛けてくれたりしたこともあるが、他人に無関心な世の中なのに・・・。


立橋山の北斜面

 コースは最終人家の庭先を通るので、外に出ていた奥さんに挨拶する。庭にきれいな花がたくさん咲いていた。話題が山の花に及ぶと、あの花もこの花も昔は秩父の山にあったとか。しかし、今ではイノシシに鹿に植林が重なってなくなってしまったとのこと。フクジュソウと言えばこの界隈では若御子山が有名だが、これは秩父市役所が客集めに植えたもので自生ではないらしい。庭には春の日差しが一杯射し込んでいる。


牛首

 鹿除けネットを開けて鬱蒼とした植林帯から送電線を右に見てクタシノクビレまで歩き、広葉樹2次林の斜面を送電鉄塔の下をくぐってようやく尾根に乗る。篠戸山まではところどころにカタクリが咲く。伐採で展望が開けたところで5分ほど休憩し、カタクリの花を見ながら矢岳へと登る。カタクリは踏み跡となっているところにも幼苗がたくさん生えているが、歩く人が少ないことから踏み潰しを免れている。


酉谷山北斜面取付きのバイカオウレン

  急斜面を登って矢岳の頂上がもう少しというところで、頂上に大勢が休憩しているのが見える。その数30人ほどで、近づいて見るとその雰囲気から「新ハイキング」のグループと感じる。クタシノクビレから休憩なく登ること2時間30分、ようやく休憩が取れると期待していた場所に大勢がいたことから先に進むと、なんとこの集団、腰を上げて出発して行くではないか。山屋のマナーがあるかないか知らないが、なんと言ったらいいもんか。安倍川から直接矢岳に登ってきたようだ。


酉谷山避難小屋遠望

 人が通り過ぎて少し行った後に黙って腰を上げて頂上を去るというあまりの馬鹿馬鹿しさに飽きれたものの、その先の静かな木陰で大休止(15分)。その後、アップダウンの激しい尾根をせっせと歩き、2011年の冬に急斜面で足を踏み外して急斜面をあわやとなった立橋山北斜面を登ってシャクナゲの群生をかき分け(?)、そして牛首へと下りる。坊主山の鞍部に出て長沢背稜に下りると平坦な道を急ぐ。背稜に今日の足跡はなく、酉谷山からも雲取山からも踏み跡はないので、今夜は酉谷山避難小屋は独占だとほくそ笑み、小屋の戸に手を掛けると内側に人影が見える。その人は(禁制の)小川谷林道歩きを決行してきたとのことであった。


酉谷山避難小屋からの夜景

 水場で冷やしたビールと日本酒を飲んでいるうちに、強烈な睡魔に襲われてしまった。この歳で矢岳をビバーク装備込みで歩こうなんていう「冷や水」は、疲れるのが当たり前。7時間30分も歩いたのだから。広げたシュラフの上で寝入ってしまい、寒さにも疲れが勝って起きることがかなわない。もうずいぶんと寝たと思った時に小屋の戸が開いて誰かが入ってきた記憶があったが再び寝入る。しばらく経って起きると、過去2回この小屋でご一緒した方だった。


[HOME][2日目][酉谷山避難小屋訪問記録一覧]