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南アルプスの展望台 白峰南嶺・笊ヶ岳
2008/11/10〜11


 11月11日(2日目) 


小笊と富士山

 目を覚ますと、もう午前4時を過ぎていた。テントの中の温度はマイナスにはなってはおらず、水も凍っていない。しかし、テントから出てみると雪が薄っすらと積もっている。下着をスマートウールの物に替え、まだ真っ暗で何も見えない中をヘッドランプの明かりを頼りに笊ヶ岳へと進む。プラティパスのホースの水はたちまち凍ってしまう。気温はマイナス4、5度というところだろう。樹林の切れ目から駿河湾方向富士市の街の明かりが眩しい。ぼんやりとした富士山の姿の左の明かりは下部の街のものだろうか。


荒川三山

 相変わらずうっそうとした樹林帯を進むとぽっと展望が開けると笊ヶ岳の頂上に出る。荒川岳、赤石岳、聖岳、後ろを振り向くと小笊に富士山・・・。聖岳の東尾根には樹氷が見られる。これらの山々にはまだ登る機会がないが、いつかはあの稜線をつないで歩いてみたい。小笊から続くランカン尾根は見通せないが、あれは深田久弥が登った大武刀尾根だろうか。ざっくりえぐられた生木割山手前の崩壊地、そのはるか先に見える槍の姿をした山・・・。大展望をしばし楽しむ。

 笊ヶ岳の記録を見ると、サイトによっては布引山から笊ヶ岳の間のところどころにテント適地があるとされているが、この間にテントを張ることができる場所は、笊ヶ岳の頂上の手前に無理して2張りだけだろう。そのほかは樹林に遮られた登山道であり、ツェルト以外を張ることは困難だ。 


 テントに戻って下山準備を始める。これからはまた樹林の中を延々と歩かなければならない。頂上寄りのテント場からは富士山の眺めがよく、また笊ヶ岳寄りのテント場からの踏み跡を進むと赤石岳を中心とした山々の展望がいいので、最後の展望をゆっくり楽しむ。


布引山テント場先からの右・荒川岳 左・赤石岳

 相変わらず気温は0度前後で、撤収の手がかじかむ。気化が不十分なガスカートリッジにぬるま湯をかけながら気化を促進してお湯を沸かす。再び下着を夏山仕様にしてザックを背負い、がんがんと下山する。急な登山道には落ち葉に隠された木の根があちこちにあって滑りやすく、何度もスライディングする。山の神から先では沢水の流れの音が聞こえても、広い河原までははるか遠く、すっかり棒状となった筋肉をだますために、ジグザグの屈折点で立ち止まりながら下りる。


聖岳

 ようやく着いた老平集落から、硯の里キャンプ場方向に登って、停めた車で身支度を整えていると、おじいさんが「笊へ行って来たのですか。もう雪が降っていたでしょう。」と優しい声を掛けてくれる。ヴィラ雨畑の離れの綺麗なお風呂に浸かって汗を流した。


奥谷沢の道すがら ベンチ周辺のリンドウ

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1日目 2日目
場所 所要時間 場所 所要時間
老平 05:30 布引山 05:20
07:05 広い河原 07:15 01:35 06:20 笊ヶ岳 06:30 01:00
11:20 桧横手山 11:20 04:05 07:30 布引山 08:50 01:00
13:30 布引大崩れ 14:00 01:10 10:00 桧横手山 10:10 01:10
14:30 布引山 00:30 12:00 山の神 12:00 01:50
12:35 広い河原 12:55 00:20
14:15 老平 01:20
総行動時間 09:00 総行動時間 08:35