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タカネビランジ・クモイリンドウ・タカネマンテマが咲く北岳
2009/ 8/16〜17

(北岳 13回目)


 8月16日(日)


八本歯ノコルのタカネビランジ (シロバナ)

 カムイエクウチカウシ山からコイカクシュサツナイ岳の縦走から2週間が経った。今年の縦走ではお目当のカムイビランジにはまだ早く、一輪の花も見ることができなかった。そこで,カムイビランジと同じナデシコ科の花の”タカネビランジ”の花が見られる北岳から間ノ岳を通って熊ノ平までのピストンを計画した。夢ふくらむ計画の段階では十分に成算があるつもりではあったが、現実はそう甘くはなかった。ただ、タカネビランジの素晴らしい花、たった今咲いたばかりのクモイリンドウ、そしてこれまで見ることができなかったタカネマンテマまでにも出会うことができた。今、北岳は花真っ盛りである。花三昧の充実した2日間であった。

 今回は、テントを担いでの熊ノ平までの10時間に及ぶロングコースを計画したというのに、前夜の睡眠時間3時間、前々夜は4時間しか睡眠時間が取れなかった。朝食もそこそこに午前5時10分発のタクシーで芦安を出発し、広河原から勇躍大樺沢コースに入ったが、八本歯ノコルへの急登で急激にスタミナを失ってしまった。
 どうにかこうにか急登をこなしてコルに出ると、いつもで迎えてくれるタカネビランジの株が消えている。普通、北岳のタカネビランジは岩場に生えているのに、ここはほかの草花とともに土を土壌としているが、登山道脇のその土が剥がれてしまったのではないかと思われる。それではと、思しき場所を探すと今が盛りとタカネビランジが岩場で陽光を浴び咲いている。


甲斐駒ヶ岳をバックにしたタカネビランジ

 八本歯ノコルから南東斜面にかけては、晩夏の百花繚乱、まさに広大なお花畑である。タカネナデシコ、キタダケトリカブト、クモイリンドウなどに混じって、たった一株テガタチドリがあった。後ろから来た人も覗き込むので、「テガタチドリはきれいですね。」と話すと、「ハクサンチドリだね。今がハクサンチドリの季節なんだよ。」という。
 そうだっけ、ハクサンチドリだっけ、これは。いやいやおじさん、これは私が初めて見るテガタチドリなんだけどなと思いつつ、清楚なテガタチドリの花を飽かず眺める。


初めての花 テガタチドリ

 そんな南東斜面を通り抜け北岳山荘が間近に見えるころ、いつものクモイリンドウのじゅうたんとは呼べないにしても、その斜面をいっぱいに咲く場所がある。遠くに富士を見ながらのクモイリンドウは、ちょうど開花の時期を迎えたばかりで、どの花も新鮮だ。


富士山をバックにしたクモイリンドウ

 北岳山荘のテント場は、老いも若きもテント泊といった趣で、それぞれカラフルなテントを張っている。特に若い女性にテントが人気のようで、がんばっている。若い男性が、「同じテントですね。」と声を掛けてくる。彼がテントの設営を終えたので見に行くと、張り綱の処理やペグの打ち方が風が出たときにフライシートを破ったり、ペグが抜けてしまうおそれがあったので、アドバイスする。
 彼はその後、小屋で買い求めた冷たいウーロン茶を持ってきて、「大事なテントのことを教えていただき助かりました。どうぞこれを飲んでください。」とお礼を言う。いつまでも断ると彼にも悪いし、ありがたくペットボトルをちょうだいする。


北岳山荘のテント場

 富士山が正面に見える快晴の快適な北岳のテント場に、我がテントも設営できた。小屋の冷蔵庫で冷やされたビールを買い求め、一缶飲むとすっかり酔いが回ってしまい、寝込んでしまう。そういえば北岳山荘の受付の注意書に、@高山病対策のためすぐ横にならず動くこと、A濡れた下着を着替え体を冷やさないこと、などと書かれていたっけ。すっかり体が冷え、その寒さで目が覚めるともう夜の7時30分を回っていた。それにしても寒かったこと・・・。 北岳山荘のトイレを拝借しに外に出ると、もうどのテントも就寝体制に入っているようで、灯りも消されている。街の灯り、夜空の星がきれいだ。


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