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再び北岳南東斜面へ 
2011/ 7/ 1〜2


キタダケソウ


 7月2日(土)のPARTU 

 


農鳥岳

  朝の好天に誘われての稜線歩きと高嶺の花との出逢いともお別れの時間となってしまいました。そろそろ北岳山荘に戻ってテントを撤収しないとなりません。それというのも、この時期の草スベリの花々の様子を確認しておきたかったからなのです。ただ、南東斜面のシナノキンバイやミヤマオダマキの花弁がまだすっかり開き切っていないことから、過度な期待は禁物です。


中央アルプス

 それにしても、同じ花たちでも朝方見たのと、太陽がすっかり上がった時間の花では鮮やかさが違います。ですから、来るときあれだけ写真を撮ったのに、また花々の写真を取ながら山荘に戻りました。もう時刻は午前9時を過ぎていますが、ガスが積乱雲を創るかの勢いで上昇して行くので、さっきまでのスカッとした展望は全くなくなってしまいました。このようになってしまっては八本歯ノコルをまっすぐ下ってしまおうかという気にもなりかけますが、そこはグッと我慢してまずは南東斜面に向かい、キタダケソウに再び逢いに行きます。


北岳とハクサンイチゲ

 北岳の頂上部が石灰岩でできているということは今回の登山でやっと知ったことでした。キタダケソウは、山頂近く、吊尾根分岐から南東斜面の石灰岩地域に大群落をつくっています。その規模と言うと山肌をびっしりと覆っているのでまさに数えきれないほどの規模としか言いようがありません。この石灰岩はもともと海底に海底に堆積していたた岩石が隆起したものというのは、ホテイアツモリソウを見に行った北海道の崕山と同じ成り立ちのようです。


キンバイソウ

 その吊尾根分岐でのことですが、極めて俗物の私は人のことを言えた義理ではないのですが、たぶんどこかの山岳会(登山クラブ)の一行でしょう。10数人のグループのうちの3〜4人がキタダケソウの防護柵を越えて、南東斜面の上部に立ち入り、登山靴でザレバを蹂躙しながらキタダケソウの写真を撮っています。その姿があまりにも醜悪で思わず、「おばさん、ロープの中にそんなに入っちゃたらキタダケソウを踏んじゃうでしょ。」と言ってしまいました。自律や自制がややもすると欠乏するクラブや集団での登山は、自分たちだけしか眼中にないときが見られます。その後のことですが、二俣に向かって下りているとき登ってくる10人程度のグループに道を譲って待っていると、ほとんどが無言で脇を通っていきます。つらい登りだからしょうがないでしょう。でもその後がいけません。まだ全員が通り抜けていないのに、トップが途中で止まって「この花、なんだっけ。」「ツマトリソウだっけ?」と言っています。


キンバイソウとオヤマノエンドウ (吊尾根分岐の岩場)

 ということは、私はテントを撤収し、北岳の頂上を過ぎ、肩ノ小屋で写真を一枚撮って、小太郎分岐からの下りでクロユリを探し、草スベリの分岐に差しかかってそのまま右俣コースを下りて行ったのでした。それにはそれなりの理由があったのですが、大樺沢に合わさる右俣コース沿いの雪渓周辺で、これでもかと言うほど草付きの斜面を眺め渡していたのでした。しかし、努力の甲斐はなく、取り立てて成果はありませんでしたが、真の「ときめき」に出合う瞬間をイメージしてやれることだけはやらないといけません。


イワウメ (北岳山荘)

 その「ときめき」についてですが、6月の北海道の山登りのときの出来事です。もう自然界で自生のホテイアツモリソウに出逢うことはほぼ困難なのですが、このときも「ときめき」を感じそうな場所をそれはそれは時間をかけて探しました。と言っても山道から外れてはいけませんので、道の両サイドを右から左、上から下と目を動かしますが、それは通り一片の見方ではありません。これでもか、これでもかと時間を掛けます。その結果、心臓がドキドキするほどの「ときめき」になるのです。そのときの「ときめき」=ホテイアツモリソウ=の出逢いは、こちらの記録でご覧いただけます。


ミヤマムラサキ (南東斜面)

 小太郎尾根分岐から右俣コースを辿ると、ここにも昨年と違った光景が広がっています。それはニリンソウがあまりにも豊富にあるということと、クロユリやシナノキンバイ、キバナノコマノツメ、ハクサンチチドリなどが群れ咲く斜面が鹿の食害著しく、土砂の崩壊、流出も進んでいるのでした。


これは在りし日の花園の姿ですが、今年も季節になれば何とかなるのかもしれません。


チョウノスケソウ (吊尾根分岐の岩場)

 二俣でのキバナノ◎×▲□ソウ探しも不調に終わり、あとは淡々と広河原へ向かうだけです。まだミヤマハナシノブやハクサンフウロなど、例年なら大樺沢沿いを彩る花々もほとんど姿を見せないので、ハイスピードで広河原に下りたのでした。


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