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北アルプスきってのフラワーロードを歩く(2012)
 7月16日 



雪倉岳北斜面から赤男山、朝日岳、長栂山そして右に五輪山


 朝日小屋のテント場は、もう4時から撤収が始まっています。いつものように最後の方の人となってテン場を後にします。朝一番の朝日岳の登り返し、頂上からの歩きづらい木道と雪渓の道。ライチョウの雛が見ることができラッキーと思ったとたん、濡れた木道に足をすくわれ転倒します。怪我がなくてよかった・・・。


朝日小屋

 大きな雪渓を下って行くと登りの女性が道を譲ってくれます。朝日小屋から白馬岳に向かったが、転倒して足にヒビが入ったようなので、テーピングでどうにか歩けるから朝日小屋に戻るということです。それでも随分と下って来ているので戻るのも大変です。足を置く方向で傷みがないところがあるので大丈夫ということです。


ツバメ平

 水平道が合わさる地点から少し進むと小桜ヶ原ですが、ハクサンコザクラはほんの少ししか咲いていません。ツバメ平にしても同じです。今年の花たちは開花が随分と遅れています。チングルマで覆われる朝日小屋への道は、今年はまったくチングルマの花を見ることができないほどです。


ツバメ平のハクサンコザクラ

 ツバメ平の先の水場で一息入れ、ガレ場に向かいます。これから雪倉岳の花の斜面が待ち受けています。何と言ってもミヤマアズマギク、イブキジャコウソウ、ミヤマムラサキ、ウルップソウですが、雪田斜面にはシナノキンバイ、ハクサンイチゲ、シラネアオイなどが群生しています。


イブキジャコウソウ

 雪倉岳の頂上までは長い道のりです。簡単に登れそうなのにそうはさせてくれない大きな斜面を持っています。頂上からは植生がガラッと変わってハイマツと草付が交互になり、ハイマツの中にもその周縁にも、もちろん草付の中にもさまざまな花が咲いています。中でもウルップソウ、ツクモグサは圧巻で、いつもの場所にはミヤマハンショウヅルとクロユリが待っていてくれました。


ミヤマハンショウヅル

 トレランで登山道を疾走する人を見かけるようになりました。大いに結構なことですが、一歩一歩足を進める従来の登山者と違ってジグを切った登山道がまどろっこしいようです。その結果ザレ場を直線的に下りることから、コマクサを筆頭とするザレ場を植生の場所とする高山植物の住処が脅かされています。コマクサは緩斜面とは言っても、足跡を付けると雨で土砂が流されてしまうようなところを植生の場所としています。花を咲かせるのに5年、大きな株になるのに30年かかると言われています。可哀想なことです。


コマクサと清水尾根

 雪倉岳の登りから強風になり、雪倉岳避難小屋が立つ鞍部ではゴーゴーと風が通り抜けます。鉢ヶ岳の東斜面を巻くときはおだやか風が除けられるので穏やかだったのですが、鉱山道分岐から三国境、さらに白馬岳の稜線でも強い風に見舞われます。それでもお花畑の花を見やりながらの稜線歩きは、最高の気分です。


ミヤマキンポウゲ、ウルップソウ、ハクサンイチゲと旭岳

 頂上はあっさりと通り過ぎ、今日のテン場の頂上宿舎に向かいます。案の定、テント場は強い風が吹いています。今年6月に頂上宿舎でひどい目に遭ったので、今回は張り綱やフライシートのテンションを取るのに一工夫しましたが、結果的に今回も強風と濃いガスが理由でさんざんな目に遭ってしまいました。ただ、その被害は軽微ではあったものの・・・。


白馬岳南斜面から杓子岳

 テントを設営し、今夜は早めに寝ることにしました。3日間続けて10時間近い行程にはきついものがあります。テントに吹き付ける風とガスは容赦ありませんが、疲れによる睡眠への渇望の方が勝っていて、午後10時ごろの厳しい風でいったん目が覚めたものの、再び奈落の底に沈んで行ってしまいました。 


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