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日高の秘峰
遂に念願の1839峰に登る
(3)

2007/10/5〜7


 3日目 10月7日 (晴れ 夜間に入り大雨)


夏尾根1305mの紅葉

 昨夜も満天の星空であり、今日も素晴らしい日の出を見ることができた。しかし、西からの風が吹いていて、天気予報は夕方から天候が崩れることを伝えている。昨日の朝に比べ気温は高いようで、フライシートのしばれもわずかだ。今日は下山するのみである。あまり急ぐ必要はない。ゆっくりと朝食を摂り、ぼちぼちと撤収に取り掛かる。

ヤオロの窓にお別れ


背丈の高いハイマツの上部

 すっかり軽くなったザックを担いで、7時8分、ハイマツ帯に入っていく。日も高くなったので、ハイマツによって濡れることもない。1560mの鞍部のテント場を過ぎコイカクシュサツナイ岳南面のハイマツ帯に再突入する。8時42分、コイカクシュサツナイ岳頂上に到着、快適なトラバースに一輪のミヤマリンドウを見て、同57分、夏尾根の頭に至る。

背丈の高いハイマツの下部



夏尾根の頭からの1823峰


カムイエクウチカウシ山〜1807m〜1823峰

 夏尾根の頭からは、今年断念したカムイエクウチカウシ山や1823峰がその全容を見せている。エサオマントッタベツ岳からカムイエクウチカウシ山まで縦走したものの、天候の悪化が予想されたので、早めに八ノ沢に下りたのだ。結果的には大きな天候の崩れにはならなかったが、初めての稜線を一人で歩いていると、臆病になるのかもしれない。歩くことができなかった稜線が今そこにある。来年はきっとここに来よう。

夏尾根頭の西方


 
西方からカムエクと続く北面

 夏尾根の頭から急降下が始まる。くり返しになるが露岩の急傾斜のところは、あくまでも慎重に下りなければならない。油断は決して許されないし、取り返しのつかないことになる。日高山岳センターに掲示されているこれまでの事故情報のうち、コイカクシュサツナイ岳での死亡事故は、いずれも夏尾根で発生していると伝えている。

1305mのテン場



上二股から見るすっかりおとなしい右股

 露岩の急傾斜をうまく降りると、傾斜はあくまでもきついが危険なところはなくなる。あとは淡々と下るのみである。いったん傾斜が緩くなると1305mのテント場が近い。9時54分テント場に出るが、夏尾根の頭からは1時間もかかっていない。1305m付近は紅葉の真っ盛りで、まだ天候の変わらない澄み切った空に紅葉、黄葉が映えている。 

 1305mから下部は特にクマザサがうっとうしい。上二股に出る平坦地は、踏み跡を左へ左へと辿ると右股沿いのテント場に出る。沢の合流地点の石の上に沢靴と靴下を干しておいたのだが、それぞれ片方が大きく動かされている。沢靴は紐などが食いちぎられている。迂闊であった。やはりキタキツネはここにも遊びに来ている。そのこと以上に、この沢を飲料水とすることが妥当かどうかということを考えさせられる。

 2005年のペテガリ岳〜コイカクシュサツナイ岳縦走の際、連日の降雨により増水していた沢は、上二股の右股を渡るのにさえ恐怖を覚えた。しかし今日の沢は、おとなしい姿をしており、単なる小川といってよい。
 登るときにあったシューズや手袋、トレッキングポールなどはそのまま残されている。縦走するため放置したとも考えられない。

ここは左岸を容易に通過できる


ひとたび増水すると暴れる沢

 キタキツネが遊んだ沢靴に履き替えて、コイカクシュサツナイ沢を下る。増水時とはまったく違い、おとなしい沢を淡々と歩く。12時33分函、12時45分下二股、13時34分道々脇の土場に到着し、日高の山に別れを告げる。


                           □ 費用概算
                      JR+モノレール 往復  1,700円
                      東京〜千歳   往路 10,000円(スカイバーゲン))
                      千歳〜東京   復路 13,800円(JAL先得割引)
                      レンタカー    6日間 23,800円(MMCレンタカー)
                      ガソリン代          5,000円
                      合    計       約52,300円
                            (注)直接経費のみ計上


 ☆ この時期の日高の山での留意点について
 水  1日に必要な水の量を炊事で使う分を含め、1日3リットル+予備1.5リットルとした。行動中の水の摂取量の実際は、1日目、2日目とも約1.6リットルであった。天候が良ければ、格段に摂取量が増えると思って準備すれば無難である。
 寒さ対策  天候が悪ければ降雪となる時期であり、特にゴアテックスを用いた防水手袋(ヘリテイジ製でこの時期の着用に適したものがある)の準備が必要。エアーマットを敷いてマイナス6度までの羽毛のシュラフに、シュラフカバーを使って、明け方に寒さで目が覚める程度である。
 ヒグマ  それほど神経質になる必要はないと思われるが、熊鈴とホイッスルの携行は必須である。なお、秀岳荘で売られている特大の熊鈴(定価1890円)は音に厚みがあるとともに共鳴してよく響き渡るので、熊よけにきわめて有効かと思われる。都内で取り扱っている店はない?
 携帯の使用可能範囲  Docomo のMovaでは夏尾根の頭〜コイカク〜ヤオロの間はどこでも使用可能であった。1839峰でもアンテナ3本にiモードのマークが表示されたが、メール本文を入力中に圏外となった。1839峰では使用方法の工夫が必要である。

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