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カールはヒグマの宝庫!
エサオマントッタベツ岳〜カムイエクウチカウシ山縦走
(4日目)

2007/7/17〜21


■ 4日目 7月21日 最終日 


降雨の中 第一関門を通過

 夕べは、八ノ沢カールから流れる水でウィスキーの水割りを作って飲んだ。そのせいもあってか熟睡したのだが、テントをパラパラ叩く音が断続的にする。時計を見ると午前3時30分になっているが、テントの外は明るくない。雨のせいで外が暗いのだった。雨が降っている中でピラミッド峰の登り、またその先に進む気力はもうない。それにも増して気になるのは、このまま雨が継続して、中札内川に至るころに増水する恐れがあるのではないかということであった。

 テントのポールが破損してしまったし、雨が降っているということは、このまま雨足が強くならないうちに下山せよ、と言うことなのだと判断し、急いでザックを整え、最後にテントを畳み沢靴で出発する。とは言っても、八ノ沢を下るのは始めてのことであり、ルートはまったく不案内である。ただ、状況によってはここをエスケープルートとして設定していたことから、シュミレーションは何度も繰り返していた。その中で、下山時のポイントとなる迷いやすい三股上部については、KomiyamaさんのHPの図解入りの説明を参考とした。そのポイントは、「三股から登りの時は、登ってちょっと下ると下方にむかう枯れ沢を左に見ながらまた登りになって、すぐに沢に出ます。」「下りの時は注意。沢から離れて下っていき、登り返す箇所を見落としてしまうと枯れ沢に入り込みかねません。」ということである。その他エサオマントッタベツ岳のページについても大いに参考となった。


巻き道を慎重に降りる

 ただ、この「枯れ沢」に相当する箇所を、YOSHIOさんの図解及び説明のとおり素直に参照(理解)しないと、間違いを起こすことになる。その読み方の仕方によっては、カールから下りてきた場合、「枯れ沢」とあるところは、トラバース状の登山道の凹部を右下に90度曲がって下りたところを指しているのであって、急傾斜に続く踏み跡であり、その先は沢の流れに行き当たる。そしてその沢は、急な岩場を流れ落ちていて、とてもそこを下ることができるとは思えない場所である。つまり、「枯れ沢」をそのまま下りると、カールから下ってきた沢に出る明瞭な踏み跡であった。実際は、右手に明瞭な下る踏み跡があってもそこには入り込まず、トラバース状にそのまままっすぐ歩き、右手の樹木に(このときは)ピンクのテープが(2本)くくりつけられているので、このテープを見上げながらほんの少し(ほんのわずか)登り返してそのまま進むと沢に出て、その沢を下るのが正解であった。


いったん休憩できる場所に出る

 迷い道ほど明瞭な踏み跡になっているとはいうものの、この「枯れ沢」実際は、これまで下ってきた沢に出るまでのわずかな距離の急傾斜の踏み跡であり、)を下りて沢に出ようとすると折れたダケカンバを横にしてその先に出てはいけないことを示しており気になるはずだ。実際に沢に出てのぞくと、滝状になっていてそのまま沢を下ることが危険なことだとは容易に判断できる。

 また、「枯れ沢」の左岸に踏み跡が続いているが、それは途中で消え、そこを元に戻ろうとすると右手傾斜に上がる踏み跡が続いているのが見えるが、上部で消えている。「枯れ沢」に下りたところの標高が、GPSでも高度計でも1245m前後であったから、YOSHIOさんのホームページの記載の、いわゆる「枯れ沢」のところであると判断して登り返すと、右手の樹木のテープが見え、つまり、自分は道に迷って本来下りてはいけない沢に続く明瞭な踏み跡を下りてしまったことが分かった。


果たして本当にここ(の巻き道)を降りてきたのだろうか

 結局は、この場所の形状は「T」の字であり、Tの字の「|」の踏み跡が見えても目をくれず、目線を下にばかり落とさず登山道と前方を見やりながら、「−」の部分をそのまま進むと本来下るべき小さな沢に出るのであった。始めての道、雨の中の厳しい下りという条件下ではあったが、いらぬ緊張を強いられたものであった。


1000m三股 この下流に大きなデブリが残っていた

 雨は引き続き落ちてきているが、雨量自体はそれほどでもないと思われ、三股までの難路もやっと下りると一安心といった床ところであった。三股の雪渓の下流にも大規模なデブリがあった。


七ノ沢出合 堰堤から上流を見る

 八ノ沢のゴロタを下っていくと、下から若い男女が登ってくる。今回初めてすれ違った登山者であった。カムイエクウチカウシ山からエサオマントッタベツ岳に向かい北カールから二股を下るということであった。釧路と札幌から来た2人は、コンパクトに、かつ、しっかりとまとめられた沢装備をしていて、中年のおじさんのスタイルとは似ても似つかないものであった。

 ヒグマ情報について聞かれたので、ホイッスルの種類を聞き実物を確認したところ、男性のものは金属製で中にコルクが入ったしっかりしたものであり、女性のものもプラスティック製ながら、その筋のプロが使うものであり、これで音を出されれば、ヒグマもあっさり退散せざるを得ないだろう。


七ノ沢の堰堤 右手に行くと建設が中止された道道の橋梁などが見える

 ときどき雨が強く降ってくるが、長くは続かず、沢の水量に影響を及ぼすものではなかった。ピンクテープを拾いながら河畔の踏み跡を辿ったり、沢をそのまま進んで行くうちに、八ノ沢出合のテント場を見落として札内川に出てしまった。

 淡々と札内川に沿って歩いているうちに徐々に流れは平坦となって、出発から5時間後の午前9時40分に堰堤に着いた。このとき、やっと今回の縦走が無事に終わったことに安堵を覚え、安全な登山に終始したことを感謝した。


ゲートは閉鎖されているが大きな落石・崩落か所はない

 無事に下山を果たしたものの、ここからピョウタンの滝のある札内川園地まで歩かなければならない。道道111号静内中札内線は、2004年6月14日、落石を理由に4.1kmの区間を通行止めとし、約17kmを延々と歩くかなければならない。平地をザックを背負って歩くのと、山道を歩くのはまったく状況が違って、ザックの重量がそのまま肩にかかってくる。


ヒダカアザミ 2か所にあった

 宅急便で着替えの荷物などを送っている日高山脈センターにほうほうの呈で着いたのは午後3時を回っていた。林道脇に特に見るべき花は咲いておらず、ときにウバユリを見かけるぐらいであり、今回の縦走で一番無量な区間であった。ただ、ヒダカアザミが数株あったのが唯一の慰めとなった。


日高山脈センター内のレストラン「ぴよろ」

 ペテガリ岳からの縦走の際もお世話になった日高山脈センターは、研修棟部分が改修され「レストラン ぴよろ」となっていた。先に園地の眺めが美しい「ぴよろ」で地場産の豚肉料理を食べ、その後シャワー(午後5時以降から。100円)を浴びて一切の汗を流した。ここは低廉な料金(2,000円)で宿泊もさせてくれる。

 食事中、支配人が不在とのことで厨房の方がカムイエクウチカウシ山登山の相談電話を受けていたが、カムエクの様子がよく分からないということで電話を代わった。66歳の男性が、東京から来る登山歴のほとんどない娘さんを伴って登りたいとのことだった。沢靴が必要だろうかとか、標識はあるだろうかとの質問であり、お尋ねするとご自身ではほとんど下調べはしていないようだったので、「危険なところも多いので、今回はお止めになって、今はお花が美しい時期でもあるから、危険の少ない山を楽しまれたらどうでしょうか。」と答えると、翻意すると言っていただいた。
                     無事に、完!


 費用概算
JR+モノレール 往復  1,700円
東京〜千歳   往路 24,400円(先得割引)
千歳〜東京   復路 24,400円(先得割引)
タクシー    登山口 12,500円(中札内ハイヤー)
レンタカー   下山後 19,500円(ニッポンレンタカー)
ガソリン代          8,000円
合    計       約89,500円
(注)直接経費のみ計上


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