日高縦走登山のための訓練山行(第1回目)
南アルプス/茶臼岳〜光岳 (2013)
(2013/11/1〜3)
沼平ゲート〜茶臼小屋(1日目)
OSPREY VOLT 75
■ 11月 1日(金) ■
酉谷山避難小屋に泊まった際、同宿の人たちとの間で山の話が弾み、話題が北海道の山、就中日高の山に及んだ。そのことをきっかけに日高の山にチャレンジする機運が急上昇することになった。とはいうものの、稜線に上がってからは水が採れない、テント場は狭く、かつ、荒れると大変なことになる場所にしかない、歩き通すには体力と気力が必須と、何かと大変な日高の山に登るにはそれなりの心構えと事前の訓練が必要との認識で意見が一致し、今回の訓練山行実施の運びとなった。
畑薙山?
日高の稜線を歩き通すには、まず担ぎ上げるザックの重さに耐え得る体力をつけることが求められるが、そのためには、日ごろから頻繁に山に接することが必要だろう。しかし、最初から20キロを超える重さのザックを背負って歩くのでは訓練も続かない。ということで、訓練山行の第一回目は、参加者3名を得て晩秋(初冬)の南アルプスを茶臼岳から光岳まで歩くこととした。この間の山小屋はすべて今シーズンの営業を終えているので、冬季(冬期)小屋を使わせてもらうことにした。当初、茶臼小屋(泊)〜光小屋(泊)〜横窪沢小屋(泊)を3泊することを考えていたが、間延びした日程であることと、4日目の天候が登山にふさわしくない崩れ方をするとの天気予報に接したことから、最終計画は、1泊目を茶臼小屋、2泊目を光小屋とし、3日目に一気に下ることとなった。
畑薙大吊橋を登山口へ
これまでの日高山脈縦走登山では、ザックは背中に吸い付くようにフィットするOSPREYのCRESCENT 75(75リットル)を使用していた。しかし、もう日高の縦走はやらない、南アルプスや北アルプスは数泊のテント泊ならば手持ちのCRESCENT 50(50リットル)で足りるので、ここしばらくCRESCENT 75の出番はなく、また、大きなザックを新調することはないかな、と考えていた。ところが、この2つのザックの中間にある大きさのZERO POINTのアルパインパック60がスタイリッシュで、シンプルなシルエットとあってビビッときてしまい、神田のさかいやスポーツに行き実際に背負ってみた。ところが、長年OSPREYのザックばかり背負っていた体にはしっくりこないところがあり、購入をあきらめた。そんなとき、OSPREYのアメリカ本社のサイトをのぞいてみると、アルパインパック60と同じようなザックのVOLT 60(75もある。女性用はVIVA 50と65)が発売されていることが分かった。
OSPREY VOLT75
このVOLTも女性用のVIVAも日本では販売されておらず、並行輸入品(概ね35,000円)を国内の通販で買うか、米国から個人輸入(代金170ドル+輸送費75ドル程度)するしかない。OSPREYのサイトからREIという販売店にアクセスし、メールでいろいろ説明をもらったが、敢えてそこまでしなくても国内で普通に売られているOSPREY AETHER
60でいいか、いやいやもう新しいザックはいらないよという弱気も湧いてくる。そんな折り、共同で輸入しませんかと言ってくれた人がしびれを切らしてVOLT60と75の二つを個人輸入で大人買いし、いらない75のほうをヤクオフに出品したことが分かった。しかし、75リットルのザックはいらないしなぁと見送ったところ入札者もなし。ではこの際いただいてしまおうと再出品に入札、最低落札価格で見事落札できた。なお米国では、VOLT75の定価は210ドルである。(他の方のVOLT75のインプレッション&購入記)
ウソッコ沢に架かる吊橋を往く雄姿
何度も何度も背負ってみたVOLT75に、3日間の荷物を詰め込んで、約300km車を走らせ、未明畑薙第一ダムに到着する。約3時間の仮眠だったが、自然に目が覚めたことから心身とも快調。沼平に車を停めて畑薙大吊橋から登山道に入る。晩秋のひんやりした早朝の山道を、真夏の縦走時と同じ服装で歩く。ヤレヤレ峠で小休止、ウソッコ沢小屋で小休止、中ノ段で小休止とした後は、横窪沢小屋で20分間、昼食を兼ねて大休止する。上河内岳と大無間山が前と後ろに展望できる稜線のベンチで、10分間休憩し息を整える。3日間の冬期小屋泊の装備を入れたザックを担いでの標高差約1,500m前後の登りはきつい。
ウソッコ沢小屋
そんなきつい登りをやっていたら、単独の青年が80リットルのザックを背負って下りてくる。聞くと広河原(つまり北岳)から歩いてきて、光岳を終えての下山だという。なんとも、オフシーズンにたいした気概を見せるナイスガイであった。樺段でほんのちょっと腰かけ、すぐさま出発する。沼平から茶臼小屋までの山地図でのコースタイムは7時間15分となっている。急斜面ののち緩斜面を登ること約1時間、ようやく茶臼小屋を見ることになる。所要時間は6時間50分であり、第1回目の日高縦走登山訓練としては上出来であった。このような訓練を重ね、体に余裕を持たせられるようになる(極言するとあと4時間ほどの登りでも耐えられる)と、日高の山も余裕をもって楽しむことができるだろう。しかし、今は小屋に早く着いて体を休めたいというのが本音であった。
峠から上河内岳
茶臼小屋の外のベンチでは、単独の青年が身支度を整えていて、上河内岳を往復してくるとのことだった。さっそく冬期小屋に今宵を過ごす場所を求める。ヤマテンからの気象予報のメールが3日目の午後に天候が変わることを伝えているので、当初計画の2日目の光小屋泊を中止し、2日目は光岳を往復し茶臼小屋に連泊と計画を変更する。小屋の水場(夏にビールなどを冷やす山からの引き込み水)で水を確保する。(テントサイトの源頭からの水、登山口からのすべての水場も順調に水が出ていた。)
横窪沢小屋
諸準備が整ったので、(そとの陽はまだ高いが、小屋の中は真っ暗なのでガス・ランタンを灯しながら)さっそくワインと日本酒を嗜む。たんまり持ち込んだお酒を十分に残した後は、炊いたお米で豪華な晩餐。小屋は訓練班員3人のほか単独氏の4人で1日目の夜を過ごす。日常生活ではあり得ない時間にシュラフに潜り込んであっという間に入眠する。
源頭の流れに沿って茶臼小屋へ
1日目 | 2日目 | 3日目 | ||||||||
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着 | 場所 | 発 | 着 | 場所 | 発 | 着 | 場所 | 発 | ||
沼平 | 0640 | 茶臼小屋 | 0500 | 茶臼小屋 | 0630 | |||||
0715 | 畑薙大吊橋 | 0715 | 0620 | 希望峰 | 0620 | 0625 | 樺段 | 0625 | ||
0745 | ヤレヤレ峠 | 0750 | 0740 | 易老岳 | 0745 | 0725 | 横窪沢小屋 | 0740 | ||
0845 | ウソッコ沢小屋 | 0850 | 0930 | 静高平 | 0930 | 0840 | ウソッコ沢小屋 | 0850 | ||
0935 | 中ノ段 | 0940 | 0945 | 光小屋 | 0945 | 0940 | ヤレヤレ峠 | 0950 | ||
1020 | 横窪沢小屋 | 1040 | 1000 | 光岳(光岩) | 1030 | 1015 | 畑薙大吊橋 | 1025 | ||
1130 | ベンチ(展望) | 1140 | 1045 | 光小屋 | 1115 | 1115 | 沼平 | |||
1235 | 樺段 | 1240 | 1305 | 易老岳 | 1310 | |||||
1330 | 茶臼小屋 | 1430 | 希望峰 | 1430 | ||||||
茶臼岳 | ||||||||||
1530 | 茶臼小屋 | |||||||||
総行動時間 (07:20) | 0650 | 総行動時間(11:00) | 0930 | 総行動時間(03:45) | 0445 | |||||
うち休憩時間 | 0050 | うち休憩時間 | 0040 | うち休憩時間 | 0045 | |||||
(注)カッコ内の総行動時間は、2013/8/22〜24の単独の際の記録 |