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南アルプス/茶臼岳〜光岳往復 (2013)
(2013/11/ 1〜3)
茶臼小屋〜光岳〜茶臼小屋 (2日目)


茶臼岳から 富士山


 2013年11月 2日(金) 


茶臼岳から先へ

 茶臼小屋の冬期小屋は、窓が1か所だけ、それもわずか10cmほど隙間で灯りを採るだけになっているから、外が明るくても中は暗闇そのものである。食事が済むとあとは寝るだけ。登りでの疲れを取るために昨晩は早く寝た。午前0時ごろにいったん目が覚め、再び入眠し、午前4時に起床。食事を済ませて午前5時、ヘッドランプの灯りを頼りに霜の降りた稜線に出る。どうにか聖岳の姿が分かる。茶臼岳に登ると徐々に空が白み始める。


薄氷 仁田池

 茶臼岳のガレた斜面を下りて樹林帯に入ると間もなく仁田池に出る。薄氷が池を覆っている。好ましい雰囲気の樹林帯に敷かれた木道を歩く。木道は植物の保護のためだろうが、時すでに遅し。鹿の採餌の場所となって久しく芝刈りされたような、矮性化した植物しか生き残っていないのだろう。手入れの行きとどいた、芝が張られた庭のようである。


御来光

 途中で日の出を見る。仁田岳に分ける希望峰のピークはあっさり通過して急斜面を下りる。聖岳や兎岳が朝日を浴びて赤らんでいくのを遠望しながら進むと、多少のアップダウンを繰り返し易老岳に着く。展望が利かず評価のしようのない密集した細い樹木に囲まれた頂上で一息入れて三吉ガレに進み易老渡に続く山肌に付けられた林道などを俯瞰する。


静高平

 鞍部の三吉平から延々とゴーロの谷筋を登ることになるので、倒木を椅子代わりにして休憩し、息を整えたら一気に容赦なく静高平まで上がる。登りは苦しくともゆっくりでいいからあまり休まないに限る。そのご褒美に、静高平の水場にはたっぷりと水が流れていた。朝方は見えていた光小屋や光岳は濃いガスに覆われて見通しが利かなくなった。イザルヶ岳の高みに行くことは止めて光小屋を経由し光岳に直行する。前回は行かなかった光石を往復し光小屋に戻る。


光小屋

 光小屋は居住部全体が冬期小屋として開放されていて、2階から入る。1回の土間に下り、早い昼食とする。今期の冬期小屋として多くの人に使われているだろうに、ごみも落ちてはおらずきれいなままだ。お腹を満たした後小屋を辞する。これから、ガスの中、山地図上のコースタイム5時間10分を、淡々と茶臼小屋まで戻ることにする。まさに日高訓練山行にふさわしい我慢比べである。元気な仁田池を過ぎてガレ場の斜面を登るころ、茶臼岳から吹き降ろす冷たい風で体が急激に冷やされる。雨こそ降ってはいないものの、湿潤な空気を伴った強い風の中、真夏の服装のまま歩くことは体の変調を来しやすい。我慢しきれず茶臼岳の頂上に出てから雨衣の上を羽織る。茶臼小屋の分岐に出るまで、そして茶臼小屋までは視界がほとんどなく、トムラウシ山の事故はこのような状況下で起きたのだろうなと想像しながら歩く。ようやく茶臼小屋が見えた。


茶臼小屋

 連休初日の土曜日、茶臼小屋は多くの人でにぎわった。2階の冬期小屋は板の間が2層になっていて、20人ぐらいがゆったり使うことができる。今夜の宿泊者は10人ほどで程よい。明日は下山のみ、温泉が待っているということで気も楽になり、少しおしゃべりをしてから入眠する。湯たんぽのお蔭もあって、極楽の一夜であった。


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