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            新緑の東稜 滝子山
                              2008/4/24

                      2006/9/16の滝子山の記録 (ヤマトリカブト)
                      2007/5/14の滝子山の記録 (ヒメイワカガミ) 



ミツバツツジ

 滝子山は我が心の山である。ひとり新緑の季節に南稜の尾根を登り東稜を歩き大樹の下で憩うとき、心が満たされる。新緑の季節は、滝子山の花の季節でもある。大ドッケのフクジュソウ群落地に出かけたときにご一緒することとなったNさんの、ヤマシャクヤクを見付けに行ったが存在が確認できなかったとの情報をもとに、それでは私がと、勇躍滝子山を周回することとした。 このところ、4日か8日おきにと過剰な山歩きをしているし、山歩き前日はいつも徹夜同様の勤務なので体は相当悲鳴を上げているが、山に花が咲きました、こんな花が咲いていますと聞いたら、いてもたってもいられないので、前日は午前3時に目覚ましをセットして短い眠りに就いた。


初狩から見た滝子山

 早朝の中央高速は、前日の天気予報とは相違して、談合坂付近ではフロントガラスを叩きつける大雨であったが、愛しの、ヤマシャクヤクのためなら雨であろうが歩こうと、初狩駅に向かう。国道20号線初狩駅付近に来ると急に雲が取れ、滝子山が大菩薩嶺の南端の山(大谷ヶ丸か)を背景にその裾野を見せている。藤沢川沿いの細い道には、どこにも車を停めるスペースがなく、わずかに見つけた植林脇のスペースに車を置いて、殿平(でんだいら)から東稜を歩くことにする。登山口となる藤沢子神社には、まだ朝早いというのに境内の草むしりをしている人がいて、ご挨拶をして神社の裏手へと歩く。さっそくイカリソウとヒトリシズカが集団で迎えてくれた。


藤沢子神社裏のイカリソウ

 植林の中を登ると程なくして自然林となって、林床にスミレ類が花を咲かせチゴユリの幼株が葉を広げているが、ヤマシャクヤクの生育するだろう標高1,000mを過ぎても、何の感触も得られない。まさか、漫然と稜線の踏み跡付近にはないだろうと、目を四囲に這わせて探るが、それらしきものは見つからない。四国・東赤石山で見かけたヤマシャクヤクの生育環境を考えるに、ガレが堆積するような傾斜ではどうだろうかと、ヤブレガサの緑を頼りに源頭に下りてみても同じであった。高度を上げるに従い霧が濃くなってくる。ヒメイワカガミが咲く岩場に着くと、もうヤマシャクヤクの生育環境から外れることから、頂上を目指して一気に登る。                       


滝子山頂上からの大谷ヶ丸

 それまで全山が濃い霧で覆われていたが、誰もいない頂上で一休みするうちに大谷ヶ丸がすう〜っと姿を現す。程なく単独の男性が大谷ヶ丸から歩いて来たと言って頂上に着いたので、様子を聞くといつも見かけるヤマシャクヤクはまだ目を出していなかった。カラ松もまだ芽を出さないのだからこの周辺のヤマシャクヤクは5月に入ってからだとのことだった。この男性は、滝子山の常連のようで、これまでに登った時の記録をメモにびっしりと書いていて、ヤマシャクヤクの咲く場所と時期に説得力があった。この場所のほか、1か所のヤマシャクヤクの情報をありがたく拝聴することができた。


ミツバツツジ 桧平から下った稜線で

 滝子山は、イワカガミやリンドウ、ヤマトリカブトが咲くブナやコナラなどの山だと思っていた。今回、東稜を歩いて見るとミツバツツジが稜線脇に延々と咲いていて、たとえヤマシャクヤクを見つけることができなくても、十二分に楽しむことができる山である。下山は男坂から桧平を経て初狩駅へと下りるコースをたどったが、林道終点までのまるでフットパスのような快適なニリンソウの咲く渓流沿いの道であった。林道を抜けて藤沢川に出るとヤマブキが見ごろだった。近く、また滝子山に登ってみようと思う。


滝子山のフットパス


ヤマブキ

              参考図書 甲斐の山旅・甲州百山(実業の日本社刊)
                    中央線花ハイキング(山梨日日新聞)
                    新ハイキング2006年11月号(新ハイキング社)
                    新ハイキング2007年 8月号(新ハイキング社)
                    新ハイキング2008年 5月号(新ハイキング社)
                                                           


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