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八ヶ岳・杣添尾根から横岳
ツクモグサ/イチヨウラン
2009・6・19


標高2000m越えの樹林帯の気になる花

2009/ 6/ 9のツクモグサ
2008/ 6/ 7のツクモグサ

2007/ 6/ 7のツクモグサ
2006/ 6/10のツクモグサ
2005/ 6/17 日高・ピパイロ岳のツクモグサ


 (6月18日)


三叉峰のツクモグサ
 

 杣添尾根の登山口となる八ヶ岳高原ロッジ・海ノ口自然郷別荘へと向かう。海ノ口自然郷は手入れの行き届いた八ヶ岳東麓の別荘地だ。平日だが多くの別荘に灯りが灯っている。登山者用駐車場に他の車はない。後部のシートを展開して寝入ると、空には満天の星が輝いている。
 午前4時、アラームで目を覚ますと隣りに2台車が停まっている。1台の人は既に出発していて、もう一人は今出て行くところだった。お湯を沸かして朝食を作り、身支度を整えて5時、出発する。

 いつも最初に見かける登山口から程遠くないところの2本のイチヨウランは、すでに花弁がしおれている。この時期に再び樹林帯に入る理由はただ一つ、わずかな記憶のホテイランの葉が見られるかどうかの再確認である。東麓でホテイランがなくなってから久しいとのことであった。だが、樹林帯をくまなく見て、それでもなければもう諦めようと思う。視界が開けると、三叉峰が迫る。まだ07時30分だというのに稜線に人が出ている。

 もう標高2300mまで上がってきた。いつもはたくさんある雪が登山道にはない。イチヨウランは幼苗を入れて数株しかなく、花を付けた株は見られなかった。杣添尾根の北側を巻く登山道には相変わらず急斜面に雪が付いている。気を付けてトラバースし登りにかかると、標高2400mあたりで先行の2人に追い付く。一人は八ヶ岳の花に詳しい人であった。クモイコザクラやサクラソウ、クリンソウが咲く場所を教えていただく。圧巻はニョホウチドリである。ただ、今の自分には荷が重いところにあるので、その場所には行くことが(でき)ないだろう。


見つめあうイチヨウラン

 三叉峰から横岳に向かう。チョウノスケソウはまだ蕾も見せておらず、ウルップソウは気の早いものがやっと花茎を伸ばそうというところだ。ツクモグサは終盤を迎えようとしている。早春の花の端境期のようだ。「あっち(赤岳方面)でチョウノスケソウが咲いていましたよ。」という元気なご婦人のアドバイスで日ノ出岳方向へ向かうが、いつのも場所のチョウノスケソウの花はまだ開いていなかった。

 このご婦人は昨晩、赤岳天望荘に泊まったとのことだが、激しい雨と吹き付ける風で大変だったと言う。5連休を作り、天気の状態によって飯豊山にするか仙塩尾根周回にするか考えていたが、結局高所を歩くことを諦めた。飯豊山は雨でマイナス4度まで気温が下がったということだったし、八ヶ岳が風雨なら北岳周辺も同様であっただろうから、弱気を見せてよかったのだろうと自分を慰めるしかない。

 杣添尾根を下ると、次から次と登ってくる。皆一様に「咲いていましたか。」「どうでしたか。」と問いかけてくる。標高差1000mをせっせと汗を流して登ってくる人に対しては、前向きで希望が持てる答えを返さなければならない。「綺麗でしたよ。」「よかったですよ。」と。


キバナシャクナゲ

 ニョホウチドリの場所を教えてくれた人は、花が開きかけのイチヨウランがあったという。あれほど一生懸命探しながら登ってきたのに、と見逃さないように、そして万が一ホテイランの葉でもありはしないかと目を凝らす。そしてそのイチヨウランを見付けデジカメに収め、さらに下って周囲の緑に同化して見つけづらい開花株を何株か探し当てて沢に出る。

 憧れの飯豊山や南アルプスの縦走はかなわなかったが、富士山塊の山に引き続き雨に降られず杣添尾根を探索することができた。もうツクモグサは終わってしまったが、ウルップソウやチョウノスケソウを見ながら、ラン科の植物ではないかと思われる花の正体を知る必要があるので、近々再訪しなければならない。(鴎)


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