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羊蹄山(ようていざん)蝦夷富士(えぞふじ)後方羊蹄山(しりべしやま)
(2011/10/ 8〜9)


比羅夫方向からの後方羊蹄山


 10月8日 

 羊蹄山には、2004年10月6日〜7日と同年の10月30日〜31日に、それぞれ羊蹄小屋(羊蹄山避難小屋)泊で登っているが、その2回の小屋泊の経験は忘れ難い思い出となっている。羊蹄山は10月ともなれば頂上付近はマイナスの温度になり、10月後半ともなると本格的な寒さとなる。そのような寒さの中を歩いて着いた小屋でコークスストーブにあたりながら夜を過ごすのは、気持ちのいいものだ。今回は、北海道の山登りの最後にこの小屋に泊ることを目的に羊蹄山を登ることにしたのだった。
  羊蹄山の過去の記録:@ 1回目の小屋泊まり  A 2回目の小屋泊まり

 
フデリンドウ

 羊蹄山(1898m)自体は、通常は日帰りの山であるが、登山口(400m)から頂上までの標高差は1,500mもあるほどのきつい山でもある。警察の資料でも、疲労による遭難救助が記録されている。また、1995年9月末のツアー登山による道迷いに起因する凍死は、このやまを侮ってはいけないという戒めである。今回も小屋泊まりなので、真狩コースの登山口を午前8時というゆっくりした時間に出発する。その時間には駐車場はほぼ満杯になっていた。今日は、天気はいいし紅葉も見ごろなので、多くの人が詰めかけたのに違いない。


ゆるやかな登山道

 羊蹄山は、途中に水場がないことになっている小屋手前の沢には水が幾筋も流れてはいた。6〜7月は雪解けの水が利用されているようである。また、小屋の管理には雨水を集めて地下タンクに貯めこれを使用しているが、これを蓋付きの大きなポリバケツに入れて緊急用に供している。)から、道道66号線から登山口のある羊蹄山自然公園に入るところにあるトイレ棟の外にある水場で、水を汲んでいく。今回は、まったり登山なので、避難小屋で夕食用のお米をトランギアのメスティンで炊くことにした。真狩(村)の街のコンビニに寄って食材を買うが、お気に入りのワインを1本分持ったので、後ろ髪を引かれつつもビールは持たなかった。

 
小屋から

 羊蹄山真狩コースの登山道は、登りやすいように大きなジグが切られているので、急斜面を登ることはほとんどない。適度に休憩しながら登山口から4時間で避難小屋に到着するとちょうどお昼で、小屋前で缶ビールを飲んでいる人が2人いたほかは、まだこの時間だから誰もいない。お二方にあいさつを済ませると「ビールをどうぞ!」と大きい缶のビールを勧めらる。たくさんのつまみとともにありがたく頂戴する。そのうちにワインや日本酒や焼酎も出してくれて、白昼の羊蹄山避難小屋のテーブルは大いににぎわいを増していったのだった。


ハイマツがシマリスの寝床

 今日(8日)は小屋仕舞いの前日で多くの人の利用が見込まれるとのことで、小屋内はあらかじめ隣の人と接するぐらいの距離でシュラフを広げる。名物のコークスストーブに火が入れられるころになってめいめい夕食の準備が始まる。ヘッドランプを点け、外のテーブルでお米を炊きながら暮れゆく景色を堪能する。シマリスが何度かハイマツの下から出てきて小屋前の椅子に立ち寄って別なハイマツに入って行き来する。小屋脇に置いてあった松ぼっくりをおねだりに来たのだった。


コークスストーブ

 小屋に戻ると、お昼に一緒にお酒を飲んだ人がきのこ鍋を作っていて、アツアツのきのこ汁を持ってきてくれた。このきのこはカラマツ林で採れたものだそうで、格別においしかった。


赤富士ならぬ夕日に燃える蝦夷富士

 もうおなかも一杯、コークスストーブが小屋内を快適な温度に保っている。シュラフに潜ったのが運のつき。(夜半に「遅くなってすいません。」と闖入してきた人たちに起こされたとき以外は)完璧に熟睡し翌朝を迎えたのだった。


沈む夕日に染められる小屋

 それにしても、寝入りばなは小屋の温度が20度もあったのに、イスカのマイナス6度まで対応のシュラフ内で暑くもなく寒くもなく快眠できたのはなぜだったのだろうか。 


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