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北アルプス・朝日岳〜雪倉岳〜白馬岳
2017/ 7/16〜19


[第3日目の行程]
2017/ 7/18(火
朝日小屋05:45〜11:12雪倉岳〜11:44雪倉岳避難小屋


4日目早朝の雪倉岳避難小屋



ツバメ平から雪倉岳方向を見る

テントを叩く雨音が強かった。夜中のラジオは新潟地方で甚大な被害を及ぼす可能性のある激しい降雨が続いていることを知らせていた。朝日小屋のテント場で3日目の朝となった。換気口からのぞくも外の景色は、見ることができない。濃いガスが立ち込め雨も降っている。
テント内の大方の荷物をザックに詰め、雨を避けてテントをしまい込む場所はないかと思案する。テント泊者が使えるところと言えばトイレだろうが、トイレには雨が入り込んでコンクリートのたたきに水が溜まっている。
午前5時だが朝日小屋は小屋の人も宿泊客もまだ起きていないのように真っ暗だ。軒下を借りようと思って小屋に行ったが雨宿りできるスペースはないので、男女2人の小屋番さん声を掛けその許しを得て入口で最後のパッキングをさせてもらう。


雪倉岳のハイマツ帯にさくウルップソウ

そうこうしているうちに、小屋主の清水ゆかり氏が来て、ゆかり氏に「ここでそんなことをされたら、小屋っていう意味はないでしょう。」とたしなめられる。要するに小屋に宿泊しないものは小屋に入ってはいけないということだ。ただ「しょうがないなぁ。」ということでパッキングは黙認された。
帳場に戻ったゆかり氏に最新の天気予報を訪ねようとするとディスプレイを見させないようにしつつ「スマホで調べて。」という。自分の認識では携帯(ガラケー)の電波は昨夕は拾えず、今日の天候ならなおさらと思っていると、次に聞きに来たテント泊4人組の男性にも同様のことを言っている。ただ、鬼にも雀の涙、「Wi-Fi」の環境にあるという。それならそれと言う順序が違うんじゃないかの、この人は。


雪倉岳避難小屋に置かれているノート

清水ゆかり氏とのうっとうしい粘りついた言葉がザックにねっとりついたまま、朝日岳に向けて進む。天候は小康状態になり、レインウェアの着用が必要かどうかの判断が迷うような中を黙々と歩き頂上にたどり着く。すぐ灌木の裏側に回り風を避け一休みする。ここから先雪倉岳までは4時間弱、白馬岳を越えテント場がある頂上宿舎まで4時間弱だから、合わせると最低でも8時間は必要になる。風はだんだん強まってくる。


小屋ノートの書きっぷり(1)

同様に頂上宿舎を目指すという4人組はいつになっても姿を見せない。次に小桜ヶ原を越えツバメ平で休んでいても同じだ。4人はあきらめて蓮華温泉に戻ったのだろう。ツバメ平でレインウェアを着用し、強風と降雨に耐えて歩くことを決心する。黒部川から吹き上げる風が強い。イワギキョウやヤマルリソウなど吹けば飛ぶような草花が強風に平然として耐えている。


小屋ノートの書きっぷり(2)

雪倉岳頂上までは強い雨に煽られた。ガスで視界はあまり利かない。楽しみにしていた雪倉岳の高山植物も盛りを過ぎている。下るに従って風はさらに強くなり雨交じりの模様となってきた。すると、もう間近に雪倉岳避難小屋が見える。時刻は正午少し前、この天候で先に進むのは危険かもと感じる。というのはこれほど歩いているのに体が冷えてきているからだ。インナーダウンの上下、冬季用グローブ、帽子グローブにウールのインナー、ウールの下着、イアバンドなどの用意はある。しかし、ここで停滞が正しい判断だろう。


小屋ノートの書きっぷり(3)

そう決まったら避難小屋に入ってすっかり着替え、ダウンなどを着用して一息つくに限りる。強風は小窓や入口の扉を動かす。雨はドバっと小屋全体を襲う。避難小屋の中はきれいに保たれている。トイレもきれいに使われている。このような天気が16日ころから続いていたらしいから土間続きの床は濡れている。人為的な濡れに加えて、小屋自体が湿気を呼び込んでいるようだ。しかし、一段上がった板の間は乾いていて問題ない。


小屋ノートの書きっぷり(4)

ザックの中の日本酒とビールを取り出し雨風の音を聞きながら酒を飲む。壁に掛けられている小屋ノートは、その表紙からしてゆかり氏の背後霊が取り付いているような文言が並べられている。

◎ 緊急避難以外のご利用はご遠慮ください。
だとか
※ この小屋は緊急避難用に設置されています
だとか
管理(富山県からの委託)朝日小屋
だとか 

それでは何か、昼飯を食べるための休憩も、着替えのための利用も、便意・尿意を催しての利用も、緊急ではないがこの先体調が持たなそうとの判断による利用もだめだというのだろうか。
参考:ヤマレコ
  朝日岳方面山岳遭難対策協議会 


小屋ノートの書きっぷり(5)

物事を論議するときはまず事実関係を知ることである。朝日小屋の言い分はHPに書いてある。もう一方の当事者である富山県の管理委託の内容が便所掃除、小屋掃除だけなのか、保守管理も含まれるのか、さらには小屋ノートにあるような登山者を詮索して警察官的役目も果たす契約になっているのかを把握してからものを言うのが一番スマートなようだ。

そんな御託を巡らせているうちに入眠してしまった。真夜中に目を覚ますと星空が見える。明日はいい日になるのだろうか。はっきりしていることは明日の天気が良くても悪くても、不帰キレットには進まないということだ。天候が安定しない限り無理は禁物だし、早く下りて温泉でさっぱりしたいというのが、今の心持ち・・・。


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