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赤石小屋〜荒川岳〜高山裏避難小屋 
(2015/ 9/19〜24)

 2015年 9月20日 ( (2日目) 
この日の行程 : 赤石小屋05:37〜06:13富士見平06:14〜07:06北沢源頭07:31〜08:25赤石岳・小赤石岳間の分岐08:31〜08:46小赤石岳08:58〜09:46大聖寺平〜10:18荒川小屋10:31〜11:28お花畑(荒川岳南東斜面)11:34〜12:03前岳12:06〜14:27高山裏避難小屋(テント泊)



早朝の赤石小屋

 今日は高山裏避難小屋までの8時間50分の行程なので、出発時間を少し早くしようと思っていた。しかし、1日目の疲労は如何ともしがたく、どうにか午前4時前に起き出し、午前5時30分過ぎの出発となってしまった。赤石小屋ではテント泊者は水場まで下りて水を採らなければならないこととされているようだったが、実際は小屋前に飲料使用のタンクが置かれ、テント泊者が使ってはいけないようなことはなかった。メジャーな山域の山小屋全般について言えることだが、最近はテント泊者(登山者)の足元を見たような料金設定がまかり通っている。


富士見平から見た富士山

 荒川小屋に泊まった人は多くがまだ陽の上がらない早朝から出発している。テント場も半数がもういない。小屋からまだ薄暗い樹林帯を歩き、ほどなくして南斜面に出ると低木が紅葉しはじめている。薄曇りの空がどんどんと晴れていく。


富士見平

 富士見平へ着くと若い男女2人がいた。昨日の尾根の登りで追い抜いて行った人たちだった。男の子の足元は昨日と同じでサンダルであった。
 「すごいね、若いっていうことは。サンダルで歩いて足を鍛えているんだ。」
 「いや、違うんですよ。」
 「履いてきた靴が足に合わず、それでは歩くことができないんですよ。足が幅広なんで。」
 「SIRIO(シリオ)というメーカーの靴を知らないの?3E、4Eがあるよ。おじさん、おばさんが好んで履いているよ。私のようにね。」
 「知りませんでした。」
 「せっかくここまで来て下りてしまうのはもったいないね。」
 「今度は聖岳のほうを歩きたいと思っています。」
 「泊まったり、食べたりするのは百闢エ山の家もいいね。揚げたてのトンカツはおいしく、食事もゆっくりとさせてくれるよ。」
 「おじさん、お気を付けて!」


前岳〜中岳

 砲台休憩所はスルーして水場で憩う。水場はガレ場の斜面の水流である。少しエネルギー源をおなかに入れてから赤石岳稜線分岐へと向かう。分岐にはたくさんのザックが置かれている。「盗難に注意」と書かれた板も置かれている。平成26年中の窃盗事件の件数は897,259件で検挙された犯人は131,490人ということである。捕まった人数は、事件数のほんの一部だろうから、この世に手癖の悪い人はいっぱいいる。そして山の上にだっていっぱいいるのだろう。

 前回、茶臼岳〜光岳を往復した際、最近登山を再びやるようになったという同年代の男性と登山道で話をした。社会人になりたてで山に登って小屋泊りをしたとき、あつらえたばかりの登山靴を小屋で盗まれてしまい、それっきり登山を止めたということだった。給料の少ないときに大枚をはたいて買ったものだからショックが大きかったということだった。 


赤石岳東斜面

 今日は長丁場だし、必ずしもピークを踏まなくてもいいしということで赤石岳に背を向けて小赤石岳へと向かう。小赤石岳頂上でも周りの景色に見とれてしまい、少し時間をとってしまう。山というものはどこの山を登ってもいい、山に入っているだけで十分と思うときもまれにあるが、やはり3,000m級の山々を歩き、その四囲の景色を眺めているとさすがにものが違うなぁと思う。そこをたっぷりと時間をかけて歩くのだから、こんなに幸せないことはない。


赤石岳

 1日目の赤石小屋までの登りや、赤石小屋で親しくお話をさせていただいた好ましい雰囲気のご夫婦がいらっしゃった。テント泊で来たものの疲れたこともあって小屋泊りに変更されたのだった。そのご主人が前方から駆けるように登ってくる(09:05)。
 「あれ、どうされました。」
 「赤石岳への分岐にポーチを忘れてきてしまいました。」
 「・・・・・、お疲れ様です。」


小赤石岳から赤石岳

 大聖寺平へ向かう途中で、その奥様がハイマツを背にして強い太陽光を避けて座っている。
  「おはようございます。びっしょり汗をかいたご主人とすれ違いましたよ。もうそろそろ下りてくるでしょうから、優しい言葉で慰めて上げてくださいね。」
  「は〜い、分かりました。」
 山を振り返ると、ご主人が走って下りてくる途中であった(09:30。)壮年というにはまだ早そうなご主人ではあったが、それにしても足が速いのには驚いてしまった。


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