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三伏峠小屋〜塩見岳〜蝙蝠岳 
(2015/ 9/19〜24)


 2015年 8月22日( (4日目の1) 
この日の行程 : 三伏峠小屋04:59〜05:09三伏山05:12〜06:02本谷山〜07:55塩見小屋〜08:58塩見岳09:08〜09:11塩見岳東峰09:14〜09:45北俣岳分岐09:58〜10:16北俣岳10:18〜12:30蝙蝠岳(ビバーク)


本谷山の先から 烏帽子岳、小河内岳方向

 三伏峠小屋のテント場の朝は早い。午前3時には多くの人が起き出している。隣のエアライズ1の女性も夜が明ける前に撤収作業は進んでいる。ただ、まだテントは張ったままであり、フライシートが夜露に濡れてすっかりテント本体(インナー)に密着している。このままの張り方だと、また大変なことになるだろうと余計な口出しをする。
 @ 張り綱が自在を使わないで、石に紐を直接堅結び(かたむすび)で結わえている。
 A フライシートのショックコードにテンションを効かさずペグに結んでいる。
 そのために、冷たい朝に素手で取り外すのが大変だったし、何よりきちんと固定されていないから耐風性能が発揮されていない。また、夜間冷え込んで雨が降ったように夜露が下り、張り綱を外すのが大変だった。また、ショックコードに適度なテンションがかけられていなかったから、
フライシートとインナーが密着し、夜露や結露がインナーの内側にびしょびしょに浸透していた。


奥に小河内岳 避難小屋が見える

 このお若い女性に、出発の前にテントを張るときの要点をアドバイスすると、明るい顔でお礼があった。山ですれ違った年配の方から「最近の山は、若い人のテント泊が多いね。私たち年寄りが、テント泊するときはできるだけ平日にしてあげるようにしないと。若い人はなかなか休みが取れないので平日のテント場を譲ってやらないとね。」とおっしゃった。確かにその通りだと思う。ただ、テント泊一筋の私にとってみれば、土日祝日と言っても急にこれまでのテント泊というスタイルを変えるわけにはいかないし、そこは大好きなというより、山での宿泊の主要部分を占めるテント泊をこれからも同じようにやるしかない。今のところ、テント泊を止めるのはあと10年たってからということに、自分の気持ちと体力から、なっている。


塩見小屋から進んで 塩見岳

 三伏峠小屋で自分のテントを撤収する際、夜露で濡れたテントで手がすっかりかじかんでしまった。テントは水分を十二分に含んでいる。どのようなシーンでも山での手袋(グローブ)の選択は難しい。今回の山を下りて山の店に行くと、AXESQUIN(アクシーズクイン) の手袋 Light Shell WP Glove(品番 RG3554)が売られていた。 わずか26gという超軽量の完全防水グローブであり、ナイロンにポリウレタンをコーティングされたものであった。税込み5,616円は高いか安いか?実際に使ってみなければわからないが、とりあえず購入した。

 04:59、ヘッドランプを装着して三伏峠小屋を出発する。樹林帯から低木帯に出て本谷山に向かう。本谷山で塩見岳から昇る日の出を見ようというのか、身軽な人達が多い。塩見新道と合流する手前の樹林帯のトラバース道を歩いているとき、後ろから来る40代の男性に道を譲るが、その人のペースに合わせしばらく話をしながら歩く。すると「すごいですね、テント泊装備で私と同じペースで歩くなんて。」という。いやぁ、ただ緩やかな登りだったのでできたことで、しまいに「ゆっくり行くので離れますね。」とペースを落とす始末であった。


塩見岳西峰から天狗岩 右奥のピークに塩見小屋

 07:38、テント泊装備の男性が向かってくる。この時間にどこにテントを張ったのだろう。
 「どこから?」
 「塩見の向こうから。」
 「それは分かるけれど、昨夜はどこにテントを張ったの?」
 「○×岳(今はテント禁止になっているらしい)。」
 「昨日の出発地は?」
 「熊ノ平小屋でした。」
 「三伏峠まで届かなかったことということでしょ。」
 「もうそんなに早く歩けないしね。」
 「だったら臆することないじゃないですか。ビバークですよね。」
 「そう言っていただいて、あ〜すっきりしました。もやもやしてましたので。」
 その人のことではないが、年を取ったら1日の歩行距離は短くならざるを得ない。まだ、若いと思って計画した時間通りに着かない年寄りが多いと、南アルプスのとある小屋のブログが注意喚起していた。若い人にとって熊ノ平から三伏峠小屋までは苦なく着くことができる距離であろう。しかし、私たち世代はもう違う。


仙塩尾根に北岳からの登山者

 塩見小屋は完全予約制で宿泊定員も少ない。そもそも、先の予約をしてからという登山計画を立てられない人も少なくないだろう。環境保全・維持の目的もあって熊ノ平〜塩見岳の間のテント泊が禁止になったのだろう。その趣旨は理解できるが、ときによってはその決まりを承知で途中でビバークしなければならないこともあるだろう。その際は、「大」の始末とゴミを残さないという最低のことはやらなければならない。熊ノ平〜塩見岳間のビバークポイントはここでは挙げないが、今回、塩見岳〜北俣岳間を通過する際、近接した場所に2か所適地があったとだけは記しておこう。


西峰からの東峰

 工事中の塩見小屋に着くと、三伏峠小屋から来たと思われる人の多くが小屋の周辺で休憩している。塩見小屋では休憩することなく先を行くことにした。塩見岳から3人が少しの距離をあけて下りてくる。北岳から来たというから、この時間(08:15ごろ)ということは・・・。うち一人は飛び切りにこっとして通り過ぎる。最終の目的地を聞かなかったが、やはり北岳から仙塩尾根に乗ってここまでくるということは年配者にとっては一つの冒険であり、そのことに言及されることはうれしいものにあるに違いない。


奥に農取岳 三峰岳 間ノ岳

 塩見岳西峰はただ通り過ぎるだけのところのようだ。東峰には多くの人がとどまっている。それもほとんどが若者。この人たちは北岳へ行くでもない、蝙蝠岳に行くでもない、塩見岳に登ればまた三伏峠に戻る人たちなのだろう。ヤマレコ用風なポーズを決めたりと、自分の感性とは相容れない。集団心理によって、自分たちだけがここに存在しているような姿の若者を見る。東峰では写真を2〜3枚撮った。少し休憩できたので先に進む。東峰から先に進むべき登山道にも、こちらが道を空けてと言うまで大きく足を広げて座っているの者もいる。


東峰から 西峰

 熊ノ平方向から来た3人が東峰からちょっと下がったところで休んでいる。塩見岳東峰から北俣岳に向かうと人が急に少なくなる。歩いている人は北俣岳を往復してきた感じの人か、これから行こうという人か。2人だけ蝙蝠岳から戻ってきた人がいた。


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